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イスラエルの出生率の高さと医療


初めまして、IJWINの小林由維子です。


アメリカ、フランス、イスラエルと3カ国で暮らし働いてきました。

国によって面白い制度がありますね。

例えば、フランスでは外国人留学生ということもありアパート家賃の幾らかを国が支払ってくれました。素晴らし制度ですよね。

アメリカでは、肥満が様々な病気を引き起こし、それによる国全体の医療費が膨らみ問題視されています。そこで月に12-15回以上ジムに通ったことを証明する紙を健康保険会社に郵送すると、なんと健康を保っているということで、お金が送られてきます。(当時は小切手として家に郵送受け取りしていました。数万円の価値だったと覚えています)

私はすっかりモティベーションが上がり、多忙な仕事の合間でも、必ず週に3−4回ほどジム通いをする習慣をつけることができました。当時は長時間のコンピューターですっかり凝り固まった肩や首に悩んでいたので、定期的に運動することで体の調子も良くなり、ちょっとしたおこずかいにもなった今では良い思い出ですが、実際にこのような制度を設けることで、全体の医療費を下げようという試みですね。


さて、イスラエルに最初に来た当初、個人的に私が驚いたのは、毎月の保険料の安さです。外国人として最初の数年は確か毎月1万ほどの支払いだったと思います。私の覚えている限りでは、アメリカでは保険料に毎月10万円以上かかっていたのが普通でした。(通常はこのうちの50%、75%、90%ほどを会社が払ってくれます。

負担率は会社によって違います)そういう保険料高額が当たり前の国からイスラエルに来て、なんとラッキーなんだ、と思ったのを覚えています。そう、イスラエルの良さは、何もテルアビブのビーチが綺麗とか、観光地が豊富(死海、エルサレム、紅海のエイラット、砂漠のミツペラモン)とかだけではないのです。こういう生活に根ざした良さもあります。ちなみに今ではイスラエル生活も長くなり、毎月の支払いは数千円となっています。

以外だと思うかもしれませんが、イスラエルの医療制度は世界でも進んでいる方で、専門によっては世界でも優秀な集団医師に恵まれている分野もあります。イスラエル人の専門医が定期的にNYのNYU病院やBeth Israel病院でオペをしたり診療をするためにイスラエルとアメリカを行ったり来たりするのはそんなに珍しいことではありません。イスラエルで質の良い治療を受けるために、数週間から数ヶ月ほどイスラエルに滞在するロシア人の人たちもよくいます。

次に私がイスラエルに来た当時、テクニオン大学の寮に住んでいたこともあり気づき、びっくりしたことの一つが、修士や博士号を学業中に、と同時に子供を一人、または二人産んで、育てながら勉強や研究をする25−29歳前後のイスラエル人の女性が非常に多いことでした。


「どうして、勉強と子作りをあえて同時にするの?」と聞く私に皆、一様に皆言うのが、勉強をしているうちに妊娠し、出産し、産休を取った方が会社で勤務しながらやるより断然楽だと言うのです。

勿論、そこには全面的にサポートをする、夫や祖父母の家族の力や、教授や同僚の寛容な理解があります。女性が高学歴になればなるほど出生率が下がる、と言うのが世界共通の統計として知られていますが、イスラエルの場合はそれを裏切る形になっているようです。


不妊治療や精子バンクによる出産、産み分けなどいかがでしょう? そうそう、日本の方でしばらくイスラエルに滞在する予定があるなら、是非不妊治療も考慮してください。出生率が3.1のイスラエルでは、不妊治療の分野も進んでいます。医療サービス自体が製品化してきている中、ショッピングをする感覚で、気負いなく、滞在中に調べてみるのも良いかもしれません。

産婦人科の医療技術も先進国並みですし、妊娠治療費の国の補助も厚いイスラエル。(例えば精子バンクで妊娠するための医療費は数万円代で受けることができます)

子供が4人全員男の子だった場合、または女の子だけだった場合の5人目の産み分けにかかる医療費も国の補助対象になるそうです。


ここで参考までに、国別出生率。

上位を占めるソマリヤ、ナイジェリア、ウガンダなどのアフリカの諸国が5−7。 次にエジプト、ケニヤ、イスラエルは3から4の間真ん中飛ばして、ランキング下へ行くと、日本は1.4 です。

ちなみに日本が他国から出生率の低さでよくメデイアで挙げられますが、実際に日本並みに低い国は下記の通り。 ルクセンブルク、ポーランド、ポルトガル、スペイン、イタリア、カナダ。

日本より低い国は、香港、シンガポール、韓国です。

世界平均:2.4 人口置き換水準:2. 1

気になる他の先進国はというと、アメリカ, イギリス、フランス、1.6から1.8。

上記の数字を見ると「ある程度の先進国」であるイスラエルが、出生率に関しては発展途上国並みの高さであることが伺えます。


数が高い要因に単純に、宗教家の女性が産む子供の数が非常に多いこと以外に、成功の価値観が挙げられるのではないかと個人的には思っています。世界でもイスラエル人の家族に対する思いは強く、人生の成功の象徴は仕事やキャリアだけでなく子供を最低でも3人持つこととなっています。

少し突っ込んで話すと、この国では男女共、18歳から2−3年間の兵役があり、軍隊後も引き続き徴集制度もある中、不幸にも成人した子供を失くす場合もあるということで一人っ子では心穏やかでいられない、というお国事情もあるでしょう。

更に高い出生率をキープしないことにはイスラエル国内のユダヤ人が占める比率に多大な影響がある、と言う政策的に深刻な理由もあるでしょうし、はたまた、ホロコスト大虐殺でほとんどの家族と親戚を亡くした過去を塗り替えるために子孫を残すことに大きな価値を置いていると言う要因もあると思います。

色々なお国事情があるなか、今後もイスラエルの特徴について他国との比較も入れながら触れていきたいと思います。 小林由維子でした。



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